パーソナル指導(投球)

野球において投手だけが特別な役割を担っている。

選手の中で、試合で「勝ち」「負け」あるいは「セーブ」がつくのは、ピッチャーだけです。ピッチャーは、バッター一人ひとりと直接対決し、バッターの出塁、ランナーの走塁、あるいはタイムリーヒットで得点が入る可能性をできるだけなくそうとするのが野球です。チームが試合に勝つためにはピッチャーの効果的な投球が非常に重要です。ピッチャーの能力を考えると①投球術②コントロール③スピードと大きく3つに分けて考えることができます。我々はこのうち、②コントロール③スピードを「スキル」と「フィジカル」、そして「スポーツ科学」の視点から紐解き、効果的な指導を行っています。

ボールをどう操る

コントロールの正確性は、投球コースとボールの動きによって決まります。制球は主に身体の遠位部の適切なコーディネーションに依存しているので、投球のコントロールは、肩の内旋、肘の伸展、手関節の屈曲、回内、回外などの優れたコーディネーションによってもたらされるものになります。一般に、ある角度で投げ出された物体は、その時点の円弧の接線を直線的に移動するといわれます。しかし、投球動作の軌道は、ピッチャーの前方へのストライド動作によって大きく影響を受け、さらに肩関節の水平屈曲は、肘を水平方向に動かすので。結果として前方への運動によってボールの軌跡が直線的になり、制球の精度が増すものと考えます。

スピードボールを投げる

スピードは、ボールがリリースされる直前に発揮された筋力によって決定されます。投球動作では大きく4つの要因、①球速はバックスイングの最終ポイントからリリースポイントまでの距離によって限定され、一般にこの距離が長いほど身体部位が力を発揮する時間が長くなる②力を発揮する身体部位の数が多いほどボールに与えられるエネルギーも大きい③ピッチングのスピードは力を発揮しているそれぞれの身体部位のスピードと関係している④力を分散させずに最大限に活用しボールのスピードへと効果的に伝えるためには、これらの力を発揮している身体部位の動きが適切に統合され同期化されなければならない、という原則を考えることから始まります。

キネティックリンクを考慮した投球フォームの習得を。

キネティックリンクは、身体の遠位部が固定されていない状態で近位部が基底面に対して力を発揮する身体活動を説明するために用いられるバイオメカニクス用語です。基底面に対する動作は、全身に及ぶ最初の力を生むことになります。最初の身体近位部は動作の中間域で最大速度に達し、その地点から減速を始めていきます。しかし角運動量は保存されなければならないため、近位部が減速するにつれてそのポイントから遠位にある部位は、運動量を保存するために加速することになります。次の身体部位は筋収縮を開始し、最初の部位が最大速度に達したときに、その筋自身のトルクで力の発揮に寄与していき、また2番目の部位はその後減速し動作の中間点でその角速度の減少と転移を開始することになります。簡単にいうと、このシステムは一連の身体部位で順次続いていき、各部位が全体の力発揮に貢献するということ。この連鎖的な反応により投球動作の加速が生み出されるのです。
そもそも「速度」とは、身体部位同士が一連の流れの中で連続して力の受け渡しをして、その力が伝わるにつれて速くなっていきます。この加速は、次に加速される部分の重量が軽くかつ回転半径が小さいほど増加することになりす。各部位は、それより近位のすべての部位によって生じた速度にその部位自体が産出した速度を加えたいわゆる「加速度」で動くことになります。そのため投げられたボールの速度は、それぞれの身体部位の速度の合計に等しいといえるでしょう。
この概念から投球動作を考えると、投球動作は一連の調和のとれた筋活動であり、その一連の活動を行う身体部位を通して、運動量が伝えられて行われるものとなり、きれいなキネティックリンクができているということは、「効率よくエネルギー伝達を行い、ボールにより大きなエネルギーを加えることができている」ということになるのです。

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